めぐりのコーディネート

芸財の潮。【Field & Arts Diary】
おうちもおみせも押し並べて
空間のクオリティがよーくわかる、

トイレという場所。

家屋のかみさまが通り行く、参道だ。
同時にまた、良くないかみさまも通り、

仮にその参道を長く塞げば、
混沌を生む吹き溜まりと化す。

良きも悪しきも、あらゆる神様が
「出してくれ!」と次々に共鳴してゆく。

『 spending all my time 』 みたく

そこに思わぬ、
滞気疲労と歪みが生まれる

けやき通りのさんねん画廊に、
カタカスのぼやぼや堂、そして
今泉の満月荘、大名のアカサカ荘

何年も気がふきだまっていた物件に
風を通し、新たな気を巡らせてきた。

めぐりのスペシャリスト!445センセ。

そして今回、歴史ある醸造元を、数年前
リノベーションし店舗となってます旧家。

きっと。先代オーナーさんがいた頃も、
リノベーションしてからも、たぶんに
なきことにされていた別棟があります。

人を避けるよう、鍵状の細い廊下が
本館と繋いでいる、脱衣所や風呂、
トイレなど水周りの集まった別棟。

ほんとに空気が重くて、だれも
寄り付かないところなんですが
そうしてしまったのは、人なのだ。

このたび445が、通気と浄化を試みつつ
空気を刷新するミッションを頂いた。

まー。まず、とにかく掃除しなければ

思いがつまったままで、忘れ去られた
古い家財道具が、無造作に転がってる。

思いは、重いのだ!
早いうちに、きちんと選別し
そして、惜別しなきゃだめだ!

そりゃ、不用意に近づけば、空気が重くて、
頭のひとつふたつは痛くなる。商家の誇りも、
リノベ後のすったもんだも、あらゆる気が
逃げ場を失って、ここで混沌が共鳴してる。

今回!きちんとなだめて、形にできれば
いよいよ 5件めとなる。おおきな仕事だ

以前の主が残した、思いの塊であろう
家財道具を掻き分け、乗り越えながら、

ひとつひとつの窓をあけてゆく。ずーんと
混沌が乗っかる感覚の中、ひとつめの窓。

わずかに、少し、風がはいる。
窓あけ前には、火も付かなかった
ホワイトセージに変化が現れた。

それでもすぐに、火は消えてしまう。

廊下に放り込まれ、どんと置かれた、タンス二竿が
その突き当りに何があるかも判らないドアをふさぎ、
簡単には近づけなかった。なんとか動かし、やっと
どん突きのドアを開けることができたらば。やはり!

トイレだった…

いや違う!便所だ。祖母の家で見た!
スリッパも芳香剤も、むかしのまま。
生活が途切れたまま、片付いてない。

そんな落とし便器の向こうに窓がある!

気の出口が封じられた、大きな商家の別棟。
その奥の奥の便所で、高貴な神も賎しい神も、
まぜこぜになって、さぞ苦しかったろうに…

もう、いたたまれなくて、謝るしかなかった

ひとつひとつ、確認しながら、開けてきた
浴室や洗面所のおしゃれな造作の窓たち。
忘れられた往時の華やかさを物語ってた。

俺たちはこうして、先人の残した知恵や経験を
忘れるのだ。戦前と戦後が分断してしまった国。

ふわーんと風が通るものの、ホワイトセージに
なかなか火が点かなかった。(湿気てるの??)

そして見える、あの小窓!

覗くと便所の穴に吸い込まれそうで怖い。
幼少期に恐怖した、便所の穴を乗り越え
ぐっと手を伸ばし、勢いをつけ窓を開けた!

一気に風が、

後ろからぬけていった…

驚きである。私越しに一目散に動物が
逃げて行くような、そんなかんじだw
それが最後に開けた、トイレの窓だ

そして、セージに火がついた!

煙が風船みたいに、ふわーんとふくらむと、
風にさらわれ、浴室や洗面所をなでながら
便所の窓から、あっけなく去って行った。

便はからだの悪気を吸収し体外に出てくる。
ふつーに、トイレとして使っても、ただでさえ
気が集積するというのに。何たる状況。。

これから丁寧に家財道具の
仕分け、掃除とあいなります。

ひとまず掃除を終えて、素敵なイメージを
膨らませながら、取り組みたいです。

すうっとイメージが舞い降りてくれば、
ちゃんと空気がリセットできたサイン。

今はまだ、埃だらけでくすんでいるものの
アーリー昭和が生んだモダン内装を活かし、
445なリメイクができたらなーと思います。